光の子
コーヒーカップをソーサーに置き、すっと姿勢を正して健人は話し始めた。
「奥さんが、離婚に同意してくれなくてね。あ、お母さんから聞いてるかな?」
広香も、持っていたフォークを皿に置いた。
「聞いてる」
なぜ健人は母と結婚してくれないのか。
広香は柊太が母のお腹にいる時、すでに母に問いただしていた。
「俺さ。高校の時、ラグビーで腰を痛めて、手術してね。その時、看護婦だった奥さんに出会ったんだよ。
リハビリしても、ラガーマンとして復活できないって知って、自暴自棄になっていたのを救ってくれたんだ」