光の子



「俺の家は、おふくろが水商売で、男が引っきりなしに出入りしててさぁ。
俺は家にいたくなかったんだよ。もう、中学ぐらいからさ…。で、入院中に親しくなった奥さんとこに、退院したら、そのまま転がり込んで同棲はじめて。高校卒業してすぐ結婚した」


広香は、相づちすら打てずに聞いていた。

「奥さんが働いた金で俺は看護学校も出た。だから、俺を一人前にしてくれた人なんだ。それで…。
広香ちゃんのお母さんとは違う形で、やっぱり妻を愛している」


胸の痛みからか、健人の顔は歪んでいた。
妻を愛している。
重い毛布を頭に被せられたように、広香は息が詰まった。




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