光の子
「美鈴よりさ。
私は、うちに来てるその柴本亜希って子のほうが、やばい気がするな」
沙与は毎日十一時近くに帰宅する。さすがにその時間には柴本亜希も帰っている。まだ二人は面識がなかった。
「最初は学校の廊下に立って矢楚を見てたわけでしょ。
それぐらいならともかく、姉に接近して家に上がり込むなんて。
告白するわけでもなく、ただ距離だけ縮めてくるって、奇妙だね、中学生らしくない」
「オレが舞い上がって逆に告白するのを期待してるのかな」
「違うね。
矢楚をそれだけ観察してるんでしょ。
美少女だからって鼻の下伸ばす矢楚じゃないことは、すぐ分かるはずだよ。
柴本亜希は病んでるのかも。気を付けなよ、矢楚」