光の子





「ありがとう。ここなら、目立たず良く見えるね」



沙与がそう言うと、高槻はエンジンを止めた。



沙与はカバンからカメラを取り出した。

ケースから取出し、電源を入れて胸元にかまえる。



スムーズだ。

沙与にはもう迷いがない。



矢楚は、息苦しくなった。



「窓、少し、開けていいですか」




「もちろん」



高槻はキーを回してバッテリーの電源だけ入れると、
手元のスイッチを操作して矢楚の座る後部座席の左側の窓を開けてくれた。




冷めたい夜風が車内に入り、矢楚は、幾分か楽になった。




目を閉じ、左耳をきんと冷やす夜風に感覚を澄ませる。




胸に広がる心地よさの中から、広香の姿が立ち上がってくる。



広香、今、何してる?




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