光の子



「誰か来た」



沙与の声に、あわてて目を開けた。


焦点が合わない目をしばたいて、外灯がきちんと照らす駐車場に目を凝らした。



はじめに目がとらえたのは、深みのある赤だった。


そして、かぜにそよぐ長い髪。



深い赤色のAラインコートをワンピースのように着ている、髪の長い女の子。




「なんだ、女子高生か」



沙与のつぶやきは、気が抜けたような響きを含む。


しかし矢楚は、見覚えのあるその横顔に胸騒ぎがした。



あいつ……。




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