光の子


「高校生だなんて」



「ちがう、中学生だよ」




そう言った矢楚の声は、喉にへばりついてるみたいに、かすれた。




「え?」




「あいつ、柴本だ。柴本亜希だ」




なんで、あいつが。




沙与が何かしゃべりかけたとき、柴本亜希が車に乗り込んだ。



二人乗りのスポーツカーの車内は、後部の窓からでも少し窺い知れた。



乗り込んだ亜希の、長い髪に覆われた首に父の手が伸び、


引き寄せてキスをした。




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