光の子
広香の中学の生徒は、ほとんどが鷹の台高校に進学する。
定員割れではないものの、不合格になる生徒は、数人しかいない。
鷹の台高校には特別進学科と普通科があり、大学をめざす優秀な生徒から、そうではない生徒まで幅広い受け皿があった。
広香は、経済的な理由で大学進学を考えていなかったことと、矢楚が普通科へ進むことから、
自分も普通科に行くことを単純に決め、さしたる受験勉強をしていなかった。
母が、これからは広香の夢を応援すると言い、母のその言葉がキレイごとに思えた広香は、母を試すつもりで、大学進学を口にしてみた。
夢を追える環境にないことを、母に突き付けようとしたのかもしれない。