光の子



チアに男子メンバーがいることに、広香は驚いた。
軽がると女子を肩に乗せて入場してくる。


チアは宙返りをしたり、足をあげたり、大人っぽくて、華やかで。
元気がみなぎっている。


なんだか、別世界。
これが、矢楚がいる場所なんだ。



広香は、くるくると変わるチアのフォーメーションを、しばし足を止めて眺めていた。



「ひーろか!」


後ろから抱きつかれる。振り向くと、


「木綿子」


満面の笑顔。ポニーテールが愛らしく揺れている。


「ひさしぶりだね~」


合格発表の日以来だった。まだ十日も経たないけれど、これまで毎日会っていた親友だから、やはり、久しぶりという気持ちだ。



「広香、そのカーディガン似合ってる!」



広香は、ジーンズに濃い紫のタートルを着て、
上に桃色のタイトなカーディガンを羽織っていた。


カーディガンの襟元や合わせ部分は、白い木綿のフリルがふち取りをしていて、わずかにのぞく白が可愛らしかった。



「ほんと?」



「ん!なんかチューリップみたい、可愛いよ」




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