光の子
「何、かばってんの?お前」
ざっと砂を蹴る音がして、今度は広香が囲まれた。
一瞬、男子の肩越しに、
さっきまで囲まれていた不思議ちゃんの虚ろな顔が見えた。
「変に目立つと、大変だよ~」
そう言って、一人が広香の二の腕を拳で軽く叩いた。
広香は、彼らをぐるりと見回して言った。
「うんこみたい」
「あ?」
「うんこみたいだね、あんたたち。
男のくせに、弱い者いじめ?かっこわる」
無言で、ひときわ体格のいいリーダー格が広香の腹を蹴った。
男子は女子と言い合いなどしない。
広香は蹴られた腹に重さを感じると、それが痛みに変わるより早く、
手にしていた竹ぼうきで、蹴ってきた男子の胴体を思い切り突いた。
しかし相手は大きく重く、わずかによろけた程度だった。
逆に竹ぼうきを思い切り引っ張られ、広香は前のめりにバランスを崩した。
そのまま片膝をつき、砂が膝にめり込んだ。
しゃがんだ広香を数人が蹴りだし、勝ち誇ったような笑い声が混じった。
広香は痛みよりも悔しさに耐えるために身体を縮めた。