光の子

「あいつさ、本当はいいやつなんだけどさー。

ほら、一番威張ってた奴。色々、家の中がごちゃついたらしくて。

準要保護って知ってる?」


「じゅんようほご?」




「俺も知らなかったんだけどさ、貧しい家に、学用費とか援助する制度らしくて。
それをあいつが受けてること、バラした奴がいるんだ。
ま、その日からさ、とんがるようになったの」


それと、人を集団でいじめることと、関係ある?



広香の不満気な顔をみて、矢楚は床を指で弾きながら、何か考えている様子だった。

やがて目を上げて清らかに微笑んだ。



「苦しい時にさ、それでも正しく生きれるやつと、
自分でもどうしようもなく、荒れてしまうやつがいるよね。
でもさ、苦しんだぞ〜って、
荒れたり、変になれる奴のほうが、
我慢してないぶん、楽なのかもね……。?……広香?」



矢楚の驚いた顔をみて、広香は自分の頬に涙が伝っていることに気付いた。

鼻も一気に詰まってずずっと音を立てた。




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