光の子



「まだ、生きてる?あの約束」



矢楚の問いに、
ゆっくりと一つまばたきをして、柴本亜希は肯定を示した。

口角をきゅっとあげ、鼻から静かに息を吐く。



「待ちくたびれてた」



「父さんとは、二度と会わないで欲しい」



「いいよ。
そのかわり、学校での藤川くんは私のものだよ」



「あさってから、ブィットリアに呼ばれて三週間休学するけど。

また学校に来るようになれば、ここで過ごす時間は柴本にあげるよ」




柴本亜希は、驚きに目を見開いた。ブィットリアに、とつぶやく。
そして祝福するようにわずかに微笑むと、がんばって、と穏やかに言った。




付き合い始めに休学することを、不満に思うのかと思っていた。もしくは残念な顔をするかと。




オレを、応援している?

家族をずたずたに切り裂き、想像すらできなかった混乱と苦しみを与えながら?




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