光の子
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広香は、母が入院してから、食事を部屋で一人でとるようになっていた。
はじめは冷蔵庫にある、卵やウィンナーを軽く調理して食べていたが、
食材を勝手に食べると献立が狂って迷惑だ、と義祖母が言うので、商店を営む木綿子の家に、下校の時に寄って『できあい』のものを買って帰るようになった。
木綿子や木綿子の母には、入院している母への差し入れを買っているのだと話していた。
毎日、店へ行って木綿子たちの家族に会うと、広香は家庭の温かさや賑やかさに浸ることができた。
通っているうちに、広香が店でゆっくりできるようにと丸イスを準備してくれるようになり、
広香は木綿子の母や、たまに店番をする弟妹と、しばし会話を楽しめるようになった。