光の子



当然ながら、広香の耳にも柴本亜希の情報は入り込んだ。

試験が終わるたびに、柴本亜希がまたトップだった、と話題に上る。

興味無さそうに授業を受けているのは、全て知っていることばかりだからだ、と。

本来なら、県下トップの私立高にいるはずの生徒。

酒造メーカーの後継ぎ。

モデルにスカウトされたという、眉つばな噂まであった。

そして。
藤川矢楚の彼女。



時間割りを気にするように、日常的に柴本亜希のことが皆の頭に浮かんでいた。

きっとその誰よりも、
柴本亜希の話題に頭をかき乱されていたのは、広香だった。




< 364 / 524 >

この作品をシェア

pagetop