光の子



こうして、柴本亜希と向かい合って立つと。


自分をこれほどまでに悩ませた柴本亜希の、実は顔すらよく見ていなかったことに気付く。



「こんな所で何してるの?月島さん」


ちゃんと声を聞くのも、初めてだった。

柴本亜希が自分の名前を知っていることに広香は少し驚く。



日曜の午後、矢楚のサッカークラブ。
今日もユースの試合があった。

広香はグラウンドへ向かうところを、柴本亜希に呼び止められたのだった。



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