光の子

長い距離もさしたる隔てにはならず、
今朝も広香のアパートに着いた。


アパートの斜め向かいにある肉屋。店の前に設置された自販機でスポーツドリンクを買う。

アパートから自分が見えないよう自販機横に立ち、買ったペットボトルを足にあて熱を持った筋肉を冷やした。


さすがに走りすぎていた。

冷やしたあと、狭いスペースで、せめてものストレッチをした。



しばらくすると、広香の母と柊太が部屋から出て来た。
柊太は幼稚園の制服を来ている。

何やら必死に母親に訴えている。欲しいものをねだっているようだ。


厳しい顔になった広香の母が早口で何かを言い、柊太は不機嫌に黙り込む。


二人は自転車に乗ると、矢楚が立つのとは反対の方へ、去っていった。



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