光の子
広香が静かに息を吸った。
『矢楚。今日、学園祭なの。来れない?会って話したい。
陶芸部は作品を展示するだけだし、クラスも、特進コースは何もやらないんだ。だから私、すっごく、暇なの』
「今日はブィットリアで色々あって。
もし明日で良ければ、明日は練習だけだから、夕方から空いてる。でも七時にはなるかも」
『明日は後夜祭があるから、その時間も学校にいるよ。
中庭に来て。陶芸部の部室からよく見えるの。私は携帯がないから』
「わかった」
『じゃあ、明日』
「うん」
『……遅刻しちゃうから、切るね』
「広香。ほんとに、ごめん……電話」
『気にしないで。じゃ、明日ね』