光の子


廊下に立つ柴本亜希は、矢楚の変化の、一つの現われ。

色白の女顔で身長も伸び悩んでいた矢楚が、ここ最近、男らしく変貌を遂げてきたことに付随して起こる、煩わしい事柄のひとつ。


昨年の秋ごろから矢楚の背はぐんと伸び、体はごつごつと、そして声変わりを終えた。


急激な成長をサッカー選手としては喜んだのだが、精神的には戸惑った。


体の急激な変化は、日に日に強くなる性への関心と分かちがたく結び付いていたから。


時に、性の衝動の押さえがたさに、矢楚は大きく心揺れていた。




< 44 / 524 >

この作品をシェア

pagetop