光の子
「おう……、そうか」
響子は缶ビールをあおる。
「オトコは?」
再び響子は自分の隣のチェアをぽんぽんと叩き、座るように促した。
広香はすすめられるままに腰を下ろした。
チェアの足元には、空き缶が置かれていた。
「誰かいたんですか」
「菜摘が、さっきまで付き合ってくれてた」
菜摘は広香と一緒に暮らしている見習いだ。
二十歳を越えたばかりの体育会系女子。
体力があるので、よく工房の男性たちと酒を飲みに出ていく。
「ここで一杯ひっかけてから、飲み会に行ったよ」
「さすが」
ふふふ、と広香は笑う。
「ま、それでさ。調べはついてんだ。
菜摘に聞いたよ。広香、付き合ってるオトコ、いるんだって?」
「菜摘が、言ってましたか」
驚いた。菜摘とそんな話しをしたことはなかったからだ。