光の子



矢楚は、三年になって久しぶりに木綿子と同じクラスになった。
小四ぶりだった。
知也は、今年はじめてクラスメイトになった。木綿子と同じバスケ部で、木綿子つながりで矢楚も親しくなった。

学校では知也が、気心の知れた一番の親友だ。

木綿子は矢楚に言った。

「修学旅行の追加申し込み、受け付けてもらえた?」

矢楚は、U15の全国大会に出場するため、日程が重なっていた修学旅行には当初行かないことにしていた。


しかし先月、膝を故障し、医者から三ヵ月は無理ができないと診断され、大会に出場することができなくなった。

もう矢楚には、修学旅行に参加しない理由はない。

「うん、参加できるって」

「よかった」

広香がつぶやいた。きっと木綿子も知也も同じ気持ちだろう。

しかし故障した矢楚の気持ちを思ん計って、それ以上は誰も何も言わなかった。


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