光の子
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その日の放課後、矢楚はいつもの広場で広香が来るのを待ちながら、サッカーボールを軽く転がしていた。
久しぶりに、二人きりで会う。
はじめて会った時、広香はここで泣いていた。
緑に輝く芝に座り、ひとりぼっちで、涙を拭おうともせず、嗚咽すらもらして。
矢楚は、そんなふうに泣く子をそれまで見たことがなかった。
ひとりぼっちで、苦しそうで、見ている自分の胸が塞がれるようだった。
同じ広場にいる人たちが、楽しそうに、幸せそうにしていることが、一層、その子を悲しく見せた。
矢楚は、誰かが見ていてあげるべきだ、と思った。
こんなにも泣いたことを、誰にも知られずにいるなんて、絶対だめだ。