光の子


邪魔にならないように、矢楚は少女の斜め後ろに座った。そこからなら、横顔がうかがえた。

この子、妖精みたいだ。

ショートの髪。ペールグリーン色のふんわりしたミニワンピース。
その下に、かぼちゃのように膨らんだ水色のショートパンツを穿いている。


なんだか、どっかで見たことある顔だな。そうだ、転校生だ。
隣のクラスに転校してきた子。    名前は、覚えてないけれど。

それにしても、あんなに泣いてちゃ、脱水状態だ。
矢楚は、近くの自販機に走り、スポーツドリンクを買った。

静かに戻ると、少女の嗚咽は小さくなって、やがて、一呼吸つくのが聞こえた。




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