光の子
そうして、泣き止んだけれど。
矢楚は、なんて声をかければいいのか、思い浮かばなくて困った。
結局、軽い冗談を言って、スポーツドリンクを渡して、一緒におにぎりを食べただけで、走り去ってしまった。
こうして思い出してみると、ガキだったんだなぁと少し恥ずかしくなる。
その後も、広香が何を苦しんで泣いていたのか、聞いてあげたい気持ちも、励ましたい気持ちもあったけれど、言葉にすることができなかった。
まだ、十二才だったんだから。
でも、じゃあ、今は?
今なら、違うだろうか。もっと気の利いたことが言えるんだろうか。