【長編】FOUR SEASONS
Spring 桜の少女
新入生のなかにその娘を見たとき、胸が騒いだ。
茶色がかった癖のあるやわらかそうな髪、強い意思を秘めた大きな瞳。
透き通るような白い肌に頬はほんのりバラ色で、高くは無いがすっきり通った鼻筋に少し上唇の薄い小さな唇。
その色はまるで桜のようで・・・。
俺、沖崎孝宏(おきざきたかひろ)はひと目で―恋に落ちた。
入学式から一週間、毎日校舎のどこかで彼女を探している自分がいる。
彼女のクラスも彼女の名前もまだ、何もわかっていない。
だから、少し焦っていたかもしれない。
その日、ちょうど校庭を裏門へと横切っていく帰宅途中の彼女を見かけ、後先考えず思わず声をかけた。
俺にしては信じられない事だけど、そんなのかまってられない。彼女の事が知りたい。
突き動かされる感情のままに彼女に声をかけた。
「アノ・・・」
振り向いた彼女は少し驚いた様子でオレを見つめて「はい?」といった。
初めて聞く彼女の声に、心がざわめく。
色素の薄い茶色の髪が風に舞って、校庭の桜の花が雪の様に彼女に降り注ぐ。
淡い霞がかかったような桜の花びらが彼女を包むように吹き荒れた。
茶色がかった癖のあるやわらかそうな髪、強い意思を秘めた大きな瞳。
透き通るような白い肌に頬はほんのりバラ色で、高くは無いがすっきり通った鼻筋に少し上唇の薄い小さな唇。
その色はまるで桜のようで・・・。
俺、沖崎孝宏(おきざきたかひろ)はひと目で―恋に落ちた。
入学式から一週間、毎日校舎のどこかで彼女を探している自分がいる。
彼女のクラスも彼女の名前もまだ、何もわかっていない。
だから、少し焦っていたかもしれない。
その日、ちょうど校庭を裏門へと横切っていく帰宅途中の彼女を見かけ、後先考えず思わず声をかけた。
俺にしては信じられない事だけど、そんなのかまってられない。彼女の事が知りたい。
突き動かされる感情のままに彼女に声をかけた。
「アノ・・・」
振り向いた彼女は少し驚いた様子でオレを見つめて「はい?」といった。
初めて聞く彼女の声に、心がざわめく。
色素の薄い茶色の髪が風に舞って、校庭の桜の花が雪の様に彼女に降り注ぐ。
淡い霞がかかったような桜の花びらが彼女を包むように吹き荒れた。