【長編】FOUR SEASONS
「あっ…ありがとうございます。すみません」
「…………え?」
「ドジですね。あたし…すぐに躓いちゃって」
ペロッと舌を出して軽くウィンクをする優華。
おまえ…俺を殺す気か?
最近は慣れつつある、心臓発作だけど今日のこれはかなりキツイ。
優華は自分が躓いたのを俺に助けられたと思っているようだった。
何だか勢いを削がれてしまって告白の言葉も出てこない。
このまま優華を抱いていたいけれど、こうなるとそうもいかないなぁ。
名残惜しい気持ちをグッと抑えて、優華の髪に気付かれないように、掠める様にキスをしてからそっと手を離した。
……優華…気付いてないな?
――その時、俺は背後に視線を感じた。
振り返らなくても分かる。
……こんな悪寒のするような視線を送ってくる奴なんて…
一人しかいないだろ?