【長編】FOUR SEASONS
Autumn 嫉妬
三味線の調律の音が聞こえる

楽屋のざわめきや慌しささえも心地がいい

化粧を施し別の女性になっていく

衣装に袖を通し、かの人に思いを馳せる

私が私ではない誰かに変わっていくとき

私の中の別の私が生まれるとき


衣装を整え紅を差し、化粧を済ませた自分の姿を鏡に映してみる。

鏡の中には、知らない女性が立っている。

私の中の嫉妬とか、情念を映す女性が、目の前にいる。


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