【長編】FOUR SEASONS
「京鹿子娘道場寺(きょうかのこむすめどうじょうじ)」といえば歌舞伎や日本舞踊ではとても有名な演目だ。

その日の数ある演目の中でも一番の注目を集めると言っても良いだろう

何の因果か今回この大役を言い渡されたのは4月のことだった。

聞いた時は、泣きそうになった。

嫉妬の怖さを知ったばかりで、傷もまだ癒えきってない頃だったから・・・。

踊るのが怖かった

嫉妬に狂った女の狂気を目の当たりに見たばかりだったから

清姫が佐知子先輩と重なって、自分の中に清姫など見つけることができる筈ないと思いながら、稽古をしてきた

でも、夏休みが始まる少し前、先輩が幼なじみを好きだと言った時、あたしの中で何かが変わった。

正直、こんなに自分が先輩を好きになっているとは思っていなかった。



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