【長編】FOUR SEASONS
先輩の想い人が羨ましかった。

先輩が『好きになって欲しい』と言うほどの人が妬ましかった

自分の心の中で渦巻く不快感が嫉妬だと気付いたのは、先輩と唇を重ねたときだった

先輩のキスはやさしくて

触れただけだったのに、とても熱くて……

心の中の先輩への想いが溢れ出しそうだった。

先輩に好きな人がいる。

それが自分でないことが、こんなにも辛いという事を初めて知った

あたしは先輩のことを、いつの間にかこんなにも好きになっていた

嫉妬に狂った女の情念なんて、無縁だと思っていたあたしが、初めてその気持ちを理解できた。

先輩が好き

私を見て欲しい

私を好きになって欲しい

その気持ちが、清姫の切なく苦しい恋に重なる。

情念…

嫉妬…

自分とはかけ離れている事だと思っていたけれど…

私の心の中にも

嫉妬の炎は…確かにあった。


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