【長編】FOUR SEASONS
水面に落ちた水滴が波紋を作るように、先生が麻里亜を愛しいと思う気持ちが、名前を呼ぶ度にポトンと想いを一つ落とす。

その気持ちが浸透するように広がってあたりを包み込むような、そんな感覚に陥るのは何故だろう。

麻里亜は相変わらず何も教えてはくれないけれど、彼女が本当に愛されている事も幸せだって言う事も解る。

思わず嬉しくなって、ギュウッと麻里亜に抱きつき耳元で、『よかったね麻里亜。幸せになってね』と言うと、麻里亜は一瞬驚いた顔をしてから、静かに微笑んでありがとうって言った。

その微笑がセルデュ先生の微笑とすごく似ていたのが、とても嬉しかった。


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