【長編】FOUR SEASONS

「優華こそどうなってるのよ。孝宏先輩さっきから行方不明なんだけど？」

麻里亜に言われハッとする。先輩のさっきの言葉がまた蘇ってきて、胸が押し潰されそうだ。

会話を逸らそうとした時、ちょうどママが来てお呼びがかかった。
ホッとして、麻里亜とセルデュ先生に挨拶もそこそこにその場を離れる。

ママは友達らしい女性と一緒だった。

「あらぁ、優華ちゃん綺麗になったわね。さっきの舞台素敵だったわぁ。」

顔を見るなりフレンドリーに話しかける女性に見覚えは無かったが、余りに勢い良く話してくるので、どなたですかと訊くことも出来そうに無かった。

ママがそれを察したように横からしゃしゃり出て…あ、いや教えてくれた。

「優華～♪祥子ちゃんがね、わざわざ優華の為に観に来てくれたのよ。覚えてる？　ほら、この間も話してたでしょう。たかちゃんのこと。」

夏祭りに行く前にママが話していた事を思い出す。

祥子ちゃんって…

もしかして…たかちゃんのお母さん？