【長編】FOUR SEASONS

チッ…。

ひとつ舌打ちをする。

なんで、いつもこうなんだ?

俺は1年位前から雑誌でモデルをやっている。
自分の意志で始めた訳ではなく、友達に頼まれた一度だけの写真モデルだった。
ところがその写真が、今所属している事務所の社長の目に留った。
俺は別にモデルになんかなりたかったわけじゃない。

でももしかしたら、幼い頃に離れてしまった初恋の女の子が俺に気付いてくれるかもしれないという、ほのかな想いがモデルへの一歩を踏み出させる事になった。
まだ、新人だし、自分ではそんなに売れているとは思わないが、この学校では有名な存在になってしまった。

コンビニや書店で雑誌にちらほら載っている自分を見るたびに、あの娘はどうしているかとずっと思っていた。

俺に気付いてくれるだろうか?

俺を覚えていてくれるだろうか?

そして……入学式の日、桜並木の下で母親に写真を取ってもらっている少女が、記憶の中のあの娘に重なった。


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