【長編】FOUR SEASONS
舞台が終わってすぐに楽屋へ行こうとして、普段は使われていない非常階段から2階へ上がった。

楽屋側は人でごった返しているだろうし、緊張して出番を待っている人の迷惑になるだろうと考えたからだ。

まさか階段を上った先に優華が立っているなんて思わなかった。

純白に銀糸で蛇の鱗をイメージさせる刺繍を施した衣装に身を包み、髪を乱したかつらをつけた優華は、まだ、先ほどの余韻が残っているのか、纏っている雰囲気がいつもとは違っていた。

表情も妙に緊張している様子で、まるで初対面のような瞳で俺を見る。


その妙な間に、訳のわからない不安に陥りそうになる。


……何故だか、凄くイライラした。


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