【長編】FOUR SEASONS
似ていると思った。

雪の中、小さな手を繋ぎ歩いた幼い少女に。

ひと目で恋に落ちた。

似ているとは思ったが、名前を聞くまでは、まさか本人だなんて思ってもみなかった。

彼女が初恋の少女だったと知って俺の心は躍った。

いつかまた会いたいと、俺を覚えていて欲しいと願っていた彼女との再会。

どんなに嬉しかったか…。

だが再会できた喜びもつかの間、俺はそれを上回るショックを受けた。

彼女は俺を覚えていなかった。

名前を聞いても全く気付かなかった。

確かに母親が再婚して、名字が変わっている。

でも、俺の顔と孝宏という名前だけで気付いて欲しかった。

"ゆうちゃん"もあの日のことを覚えていてくれる…。

ずっとそう信じていたのに…



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