【長編】FOUR SEASONS
「悪かったな、俺の言ったこと忘れていいよ。優華に迷惑かけるつもりは無いし」

「あの…」

「優華は俺の事少しは好きなんじゃないかって、勝手に自惚れていた。バカだよな俺」

「先輩…あたし……」

「大丈夫。自分の立場忘れてないよ。おまえの事はこれからもちゃんと護ってやる。これは俺の責任でもあるからな」

これ以上一緒にいることが辛くて背を向けようとした時、落としたままの花束に気付いた。

告白は最悪の形になったけど、優華の発表会を祝う事は忘れるつもりは無い。

ノロノロと屈み花束を手に取ると、ゆっくりと彼女に向き直った。

「今日は素晴らしかったよ。おまえの中の情熱とか、愛情とか…そんなものを見せてもらった。
…俺には少し…いや、かなり辛いものがあったけどな」

苦笑しながら花束を渡すと、優華は瞳を潤ませて唇を噛締めていた。

花束を通して震えが伝わってくる。


こんな時でも、抱きしめたくなるほど愛しい…


優華……好きだよ……


花束を彼女にゆだねると一歩下がり、静かに背を向けた。


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