【長編】FOUR SEASONS
「優華、好きだよ。」

優しい声で囁く声が、耳元から全身に沁み渡る。

肌が粟立ち痺れるような幸福感が体全体に広がって、切ないほどの想いを連れて来る。
この溢れる想いをどう伝えればいいんだろう。

「あたしも…大好き…。」

「クス…じゃあ、俺のほうがもっと好き。」

「クスクス…じゃあ、あたしのほうが、もっともっともっと好き。」

「そんなことで意地を張らなくても良いんじゃないか? どう考えたって俺のほうが優華を好きなのは決まってんだから。」

そう言うと、あたしの頬にキスをする。

普段だったらこんな街中で恥ずかしい事かもしれないけれど、この場所と周囲の雰囲気があたしを酔わせていたのかもしれない。

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