【長編】FOUR SEASONS
「やっ、やだ。そんなこと真顔で言うから照れたんですよ。
恥ずかしいじゃないですか。
それに、あたしだって先輩がそんな風に笑っていてくれる事が凄く嬉しいですよ。
先輩は全然笑わなかったじゃないですか。」

「ああ、笑うなんて感情をどっかに置き忘れていたのかもしれないな。
優華に再会するまではさ。今こうしている事のほうが俺には不思議なくらいだよ。
優華が傍にいて、笑っていて、俺を好きになってくれる。
夢なら絶対に覚めたくねぇよな。」

そう言って遠くを見るような瞳でコーヒーの白いカップを口元に運ぶ孝宏先輩。

そんな仕草までもが好きだって思う。

これが夢だったら…

あたしだって目覚めたくないよ。


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