【長編】FOUR SEASONS
「…夢だったら、あたしは眠り姫のままでいい。
もし、これが夢ならずっと眠っていたい。
王子さまが来なくてもずっと眠ったままで幸せな夢を見ていたいと思うわ。
お話の中みたいに会った事もない王子さまのキスで目覚めるなんてあたしはイヤよ。
ずっと夢の中の王子さまだけを夢見て愛して生きていきたいわ。」

「…優華を目覚めさせるキスをするのは俺だろう?
もしこれが夢なら一緒に目覚めればいいんじゃないかな?」


そう言って先輩はあたしの手をテーブル越しに優しく握り締める。

その手の温かさがとても嬉しくて、コクンと頷いて二人でクスクス笑う。

甘いホットミルクのように…

心を満たす時間がふんわりと心と体を包むように流れていく。


この時間がずっと続けばいいのに…。


そう思っているのはあたしだけじゃないと思う。


このまま時間が止まってしまえばいいのに…。


< 164 / 323 >

この作品をシェア

pagetop