【長編】FOUR SEASONS
「優華に渡したいものがあるんだ。ちょっと目を瞑って?」

「何?渡したいものって。」

あたしは言われるがままに瞳を閉じる。

先輩はそんなあたしの右手をを取って何か小さなものを乗せた。

「目、開けていいぞ。」

手の平には小さな箱。可愛いリボンが飾ってある。

「なに?これ。プレゼント?」

「ああ、ホワイトデーのな。随分遅くなったけど。

「えぇ? ホワイトデーのって…10年も前でしょう?」

「まあな、いつか優華に再会したら渡そうと思ってずっと取ってあったんだ。
ガキのプレゼントだからガラクタみたいな物だけど、あの頃の俺には精一杯の想いを込めた物だったんだ。
だから、捨てられなかった。嫌じゃなかったら…貰ってくれるか?」

先輩の言葉に嬉しくて

ドキドキしながら小さな箱を開いてみる。

中に入っていたのは―…

貝殻で出来たネックレスだった。


< 169 / 323 >

この作品をシェア

pagetop