【長編】FOUR SEASONS
ガラスの向こう側で、放送部の男子生徒が息を呑むのが分かった。

何事かを他の部員に話すと、一人の女子部員が慌てて放送室を飛び出していくのが視界の端に映った。

スペアキーを取りに行ったのだろうか。

だったら急がないと時間が無いと判断し、俺は先を続けた。


低い…冷たい感情を殺した声で。

「こんな事をして俺が喜ぶと思ってんのか? こんな事をする奴が俺のファンなんだったら俺はファンなんて要らない」

そうだ。俺が欲しいのは優華だけなんだ。
俺には何人ものファンなんて要らないんだ。
優華だけが欲しいのに…
…どうして傷つけてしまう事になったんだろう
まだ、告白さえしていないのに。

「俺の好きな女を傷付けるような奴が俺のファンだなんて、絶対に認めてやらねえ」

俺の声は低く擦れて、怒りの為に震えていた。

< 18 / 323 >

この作品をシェア

pagetop