【長編】FOUR SEASONS
―――――っ!
思わず息を呑んだ。
あまりにも美しくて、あまりにも儚げで…。
「君…新入生だよね。名前は?」
声は擦れていなかったか?
震えていなかったか?
よし頑張った。良く言った孝宏。
俺が自分の勇気をたたえいると、不意に彼女が口を開いた。
「どなたですか?」
―――― 一瞬何を言われたか分からなくて絶句する、が、すぐに思い直した
そうだ、彼女が俺を知っているはずが無い。いくら俺が学校では有名でも、彼女はまだ入学して数日なんだ。
―――思わず苦笑する
「ごめん。自己紹介もしないで質問するなんて失礼なヤツだよな。
俺は2―Cの沖崎 孝宏(おきざき たかひろ)っていうんだ。
突然ゴメン。…急に声をかけたりしてびっくりしただろ?」
彼女は戸惑いながらもまるで桜の花びらが舞うようにふわりと微笑んだ。
「1―Bの高森 優華(たかもり ゆうか)です。あなたが沖崎さん?」