【長編】FOUR SEASONS
孝宏の背中にあたしの胸に納まるはずだったナイフが鈍い光を放っている。

「いや…孝宏…しっかりして。お願い。」

「ゆう…か…。
俺、おまえを…護れたか?」

孝宏の言葉に心が血しぶきをあげる。

涙が溢れて孝宏の顔が滲むのが嫌で必死に堪えてみせた。

「うん…あたし怪我なんて一つもしていないよ。
孝宏のおかげだから…。
だからお願い、しっかりして。
孝宏に何かあったらあたし、生きていけないの。」

少しずつ力が抜けて、あたしに寄り掛かってくる孝宏の体を必死に支える。

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