【長編】FOUR SEASONS
麻里亜があたしを抱きしめて背中を擦ってくれる。

「あたしが…死ねばよかったの。あたしを庇ったの。あたしのせいでっ…」

「違うわ、優華ちゃん。そんな事言ったら孝宏が悲しむ。」

その声に顔を上げると孝宏のお母さんが涙を堪えた瞳で微笑んであたしを見ていた。

「おばさん…。」

「孝宏は春に優華ちゃんを護れなかった事、すごく後悔していた。
だから今は優華ちゃんを護れた事すごく誇りに思っていると思うの。」

「……でも…。」

「孝宏は大丈夫よ。あのくらいでくたばる様には育てなかったつもりだから。それより…」


おばさんが何かを言いかけたそのときだった――


手術室から慌しく看護婦さんが出てきた。



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