【長編】FOUR SEASONS
慌てて唇を離して顔を覗き込むと―…

孝宏が薄く瞳を開いて放心したようにあたしを見つめていた。


「――っ!孝宏?」


「…ぅ…ぁ……ゅ…か…?」


あたしの名を呼ぼうとする彼の声…

擦れて弱々しいけれど、確かにあたしの待ち望んだ声だった。



還ってきてくれた…孝宏…



バクバクと鳴る心臓を押さえつけ、震える手ももどかしくナースコールを押す。


「誰か来て下さい。お願い。孝宏が目を覚ましたの。」



ああ、神様…



ありがとうございます




++ 始まりの季節 Fin ++

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