【長編】FOUR SEASONS
重い瞼をゆっくりと開いて、愛しい人の姿を捜す。

狭い視界の中に、驚いた顔をした優華の姿が映った。

名前を呼ぼうとしても上手く声がでない。

擦れた声で、それでも優華の名前を呼びたくて、必死に唇を動かした。


「――っ!孝宏?」


優華の声だ。

本当の優華の声だ…。

泣きたくなるくらいの愛しさがこみ上げる。

切なくて苦しくなるほどの想いが溢れて止まらない

これほどの想いを闇の中に奪われてしまう所だったなんて…

優華への想いを永遠に失ってしまう所だったなんて…


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