【長編】FOUR SEASONS
まだ力の入らない腕で、優華を引き寄せ抱きしめる。

彼女の温かさと柔らかな香りが、ようやく俺に帰還を実感させてくれた。

手を伸ばし優華の顔を引き寄せると、涙に濡れる頬にそっと唇を這わせ、生きている事を確かめるようにキスを交わした。

頬に…

額に…

そして唇に…


優華が小さく
「おかえりなさい」
と呟くのを遠くに聞きながら

そのセリフを絡め取るようにキスを重ねる。

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