【長編】FOUR SEASONS
午後一番にご両親は孝宏を迎えに行った。

本当は病院まで迎えに行きたかったけれど、ママに孝宏の家で一緒に待つように言われてしまった。不満ではあったけれど渋々了承したのは、孝宏があの事件の後ご両親と3人で話す機会が一度も無かったのを知っていたから。

孝宏もご両親もきっと何かお互いに話したい事があるはずなの。

特に孝宏はお義父さんと話したい事があるんじゃないかと思う。

再婚後、孝宏はお義父さんに反抗してお母さんとも上手くいかなくて孤独感を凄く感じていたらしい。孝宏の5才年下の弟は自然にお義父さんを受け入れていたから余計に焦りや不安を煽ったのかもしれない。

思春期入り口の小学校高学年の孝宏と、まだ幼かった弟では受け入れる心の状態が違っていたのだから仕方が無かったんだと思う。

家庭の中でひとり孤立していくのを感じた孝宏は随分と荒れていったらしい。

そんな孝宏の心にあたしはずっと住んでいて、彼の淋しい心を癒す思い出となっていたと教えてくれた時は涙が出るくらい嬉しかった。

これからは、ずっと傍にいるから。ずっとあなたを支えてあげるから。

二度と離れないって約束は決して忘れないよ。



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