【長編】FOUR SEASONS
車が戻る音が聞こえて慌てて外へ飛び出していく。

嬉しくて、待ちきれなくて玄関先で待ち続けていたあたしは孝宏が車から降りる姿を見て、涙が止まらなかった。

孝宏もあたしに気付いて荷物もそこそこに駆け寄ってくる。

まだ走ったりしちゃダメだよ。病院に逆戻りになったらどうするの。

そんな思考も孝宏の抱きしめられた途端、どこかに飛んでいってしまう。

久しぶりに感じる孝宏の腕の中。温かくて広くてあたしを安心させてくれる場所。
やっと帰って来てくれた。

「おかえり孝宏…。おかえり…。」

「優華…ただいま。やっと帰ってきたよ。心配かけてゴメンな。」

頬を伝う涙をそっと拭ってくれる優しい指。

この指が、大きな手が、あなたの笑顔が全て愛しいよ。

「もう、無茶しないで…。約束して、ずっと傍にいるって。」

「うん。約束する。ずっと優華の傍にいる。離れろって言っても離れてやらないし…。もうずっと一緒だから。いいね?」

「うん、ずっと一緒にいる。離れない。」


『ずっと一緒にいる。離れない』
この言葉が本当に言葉のままになるなんて…

このときは思わなかったけれど。


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