【長編】FOUR SEASONS
「ふぇ~~~。何よその選択肢って。」

「ん、まぁ、あとで話すよ。とりあえずグラスと飲物運んでしまわないか?いつまでも何してるって叱られちまう。」

そう言うと、パッとあたしを放してさっさとトレイを運んでいく。

展開についていけず呆然とその後姿を見ているあたしに
「氷もってこいよ~。」
と振り返るとニヤッと笑ってみんなのいる部屋へ行ってしまった。

あの笑みに何か嫌なものを感じてしまったのは、絶対に気のせいなんかじゃないと思う。

何か企んでいるらしいママ達に加えて、さらに孝宏まであたしにとんでもないバツゲームをさせようとしている。

頭が痛いのを通り越して悪寒がしてきた。

こわいよ…。

とっとと逃げちゃおうかと本気で思い始めている事、孝宏にバレなきゃいいんだけど…。

あたしは深い溜息とともに覚悟を決めると、氷を持ってみんなの待つ部屋へと戻っていった。


そこであたしを待っている運命なんて知りもしないで。


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