【長編】FOUR SEASONS
「寒いの…あっためて。」

心臓が止まるかと思った。

優華の口からそんな言葉が出てくるなんて思いもしなかったから。

「…っ、寒いのか?じゃあ俺の部屋へ行くか?
それともこの部屋を暖めるほうがいい?」

「孝宏のお部屋がいい。」

「ン、じゃあ行こうか。ゆっくり立てよ?
ふらついてるじゃないか。」

優華が立ち上がりフラフラと歩くのを見て、思わず手を差し伸べずにいられない。

まだ酒が残っているのか、寝ぼけているのか、かなり危なっかしい足取りで俺に抱きついてくる。

「優華、歩けるか?」

「ん~~。歩けない…抱っこしてぇ。」

潤んだ目で俺の首に手を回し、身体を擦り付けると抱っこをおねだりしてくる。

オイオイ勘弁してくれよ。

俺を誘ってんのかよ。


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