【長編】FOUR SEASONS
「お願い…孝宏の傷を見せて欲しいの。」

「傷…?」

「背中の傷…見せて…。」

俺の服に手をかける優華を慌てて制して、自分で上半身だけ服を脱ぐ。

あの調子で脱がされたら自分が分からなくなるだろうな。
あぶねぇあぶねぇ。

細い指が俺の背中にそっと触れると、確かめるようにその傷をなぞった。

「孝宏…痛かったよね。ごめんね。」

背中の傷に優華の指が触れるたびに、傷が燃えるように熱をもち始める。

ゾクリと肌が粟立つような感覚に、胸の奥から熱い想いが込み上げてくるのを止められなくなる。

「ほら、もういいだろう?服着るぞ。」

いい加減理性も限界にきている事を悟り、優華から離れようとした時だった。

不意に傷に柔らかく温かいものを感じた。



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