【長編】FOUR SEASONS

放課後、麻里亜とふたり先輩に指定された昨日のあの場所に行く為教室を出た。

東棟を出るとすぐに誰かがあたしの肩をたたいてきたので、誰だろうと不審に思い振り返ると、ショートヘアの綺麗な人が立っていた。

その周りに数人の友達・・・というより取り巻きと言った感じの人がいる。

金色に近いハニーブラウンの髪をしたその人は細い切れ長の冷たい目で私も見ている。すっきりと通った鼻筋と薄い唇がことさらに冷たい印象を与える氷のような美しさだった。

見覚えは無いがタイの色が紺色だから2年生である事がわかる。

「ちょっと、1-Bの高森優華ってあんたなの?」

取り巻きらしい一人から突然自分の名前を呼ばれて絶句する。
2年の先輩に知り合いはいないはずだ。

「・・・・・・え?あ、はい。どうしてあたしの名前?」

あたしの問いには答えずに、先輩たちはじろじろとあたしを頭から足先まで舐めまわすように見てきた。

凄く嫌な視線だ。

不快感を感じて、口を開こうとした時、一番綺麗なリーダー格の先輩が突然信じられないことを言った。


「孝宏に近付かないでよ。あなた、孝宏のことが好きなの?今日も西棟に来ていたでしょう?いい度胸してるじゃない」


突然のことに言葉に詰まった。



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